「タイムアウトマーケット大阪ができるまで」―"食" でまちをつくるという挑戦
2026.03.12 Thu
2025年3月にグラングリーン大阪の南館とともに開業した、タイムアウトマーケット大阪。関西の最高峰の食と文化が一つ屋根の下で満喫できる、アジア初上陸のフードマーケットです。
本記事では、当社がなぜタイムアウトマーケット大阪を誘致したのか、どんな空間にこだわったのか、その背景と挑戦について紹介します。
INDEX
タイムアウトマーケットとは

開業して間もなく一大観光スポットとなったタイムアウトマーケットリスボン
タイムアウトマーケットとは、 世界各地でシティガイド「Time Out」を運営し、ローカルエキスパートとしてまちを知り尽くした編集者が監修した、食と文化を体験できるフードマーケット。地元で愛される名店などが集結したレストラン、地元のアーティストによるアートやパフォーマンスなど、そのまちが持つ個性を捉えて発信している「Time Out」を、まさにリアルに体験できる場です。タイムアウトマーケットは2014年に世界で初めてポルトガルのリスボンにオープン 。たちまち年間400万人が来場する人気スポットとなり、アメリカやカナダなど他国にも次々と展開していきました。
アジア初上陸となったタイムアウトマーケット大阪
11カ所目となるタイムアウトマーケット大阪は、約3,000㎡を超える広大な空間。厳選された17のキッチンと2つのバーが集まり、お好み焼きやうどん、串カツといった関西の名物がラインアップ。さらに、世界中のタイムアウトマーケットで提供されているハンバーガーやピザ、寿司、ラーメンなども、関西の個性が現れたメニューになっています。

関西名物から寿司、ピザまで、多彩なメニューをラインアップ

音楽ライブや映像などを届けるステージ、ビジネスイベントでの活用も見込んでいる
本格的なステージも特徴の一つ。ここでは食事とともに楽しめる音楽や映像、さまざまなイベントを開催し、地元のアーティストの活躍の場に。場内でひときわ目を引くアートウォール も、関西の若手アーティストの作品です。

壁一面を彩る壮大なアートウォール SHUN NAKAO/中尾 舜 《your city lights》
タイムアウトマーケット大阪は、関西の食の奥深さ、豊かさを世界に発信できるコンテンツであり、食を通したさまざまな交流が生まれる場として、梅田の魅力を高める施設となっています。
なぜ大阪に?阪急阪神不動産の誘致戦略
当社がなぜタイムアウトマーケットを大阪に誘致しようとしたのか、その背景には阪急阪神ホールディングスグループが掲げる、大阪梅田エリアの価値向上を目的とした構想「梅田ビジョン」があります。本構想では、大阪梅田が目指すまちの姿を「国際交流拠点」と定め、世界に誇れる独自価値の一つとして"食"を位置付けています。
この方向性は、グラングリーン大阪の商業ゾーンにおけるメインダイニングの検討においても、大きなテーマとなりました。当時、世界から見た大阪は、道頓堀や新世界の賑やかなまち並み、たこ焼きなどのB級グルメといった画一的な情報にとどまっており、とりわけ梅田は洗練されているものの魅力的な特徴がないとされていました。 そこで当社は、高層ビル群とデザイン性の高い公園の風景に加え、厳選された大阪の食を提供することで、新しい梅田を表現できるのではないかと考えたのです。
この計画を実現する存在として着目したのがタイムアウトマーケットです 。タイムアウトマーケットはそのまちならではの美食とカルチャーを一度に体験できる場として、世界的に支持されています。大阪に出店いただければ、関西が誇る食を世界へ発信できるだけでなく、海外からの来訪者と地元のお客さまが食を通じて交流するシーンを生み出すことができ、まさに「梅田ビジョン」の実現につながる――そう確信し、誘致を決意しました。
まずは「Time Out」の国内メディア運営社を通じてコンタクトを取り、グラングリーン大阪が持つポテンシャルを資料にまとめて本国のタイムアウトマーケット社へ提案。その熱意が実り、マネジメント契約締結に至ることができました。

タイムアウトマーケット大阪へは、うめきた公園・芝生広場の目の前、南館の外階段からダイレクトにアクセスできる
空間づくりのこだわり
空間設計を行う際には、大阪の多様性や個性を感じられる場を目指し、工業的で無骨なデザインの中に、木材を使った庇(ひさし)など温かみのある日本らしさを融合させました。
世界で展開するタイムアウトマーケットは、各都市を表現するコンセプトカラーを持つのが一つの特徴で、大阪では「ブルーモーメントの藍色」を採用しています。ブルーモーメントとは、ネオンが立ち上がる直前の時間帯に現れる色で、静けさと高揚感が共存しているこの色を基調とすることで、「これから始まる大阪」を感じさせています。
また、メインダイニングでは、無機質なメタリックルーバー※1がロングテーブルの上からステージへと伸び、そこに落ちる光によって大阪のまちが持つスピード感を表現。さらに、キッチンの外観デザインに施した瓦風タイルの鈍く光る釉薬は、集う人々のエネルギーや大阪らしい活気を映す仕掛けに。
このファサードについては、実物大の模型を製作し、ロンドンとのオンライン会議で何度も協議を重ね、双方が納得いくまで調整を行いました。
※1 メタリックルーバー
細長い板材を平行に並べたもの

大阪のコンセプトカラー「ブルーモーメントの藍色」を採用した天井と腰壁タイル

キッチンから張り出す庇は、神社仏閣を想起させる温かみのあるデザイン
レイアウトでは、タイムアウトマーケットのコンセプトである「The best of the city under one roof」※2を体現するため、マーケットの象徴であるロングテーブルを中央に配し、各キッチンで両サイドを囲んだ構成に。また、南館内に勤務するオフィスワーカーが昼食や会食で利用することを想定し、タイムアウトマーケット初の試みとなるビジネス用ダイニングエリアを設置。現代的な障子をイメージした間仕切りで店内を柔らかく区切り、落ち着いた空間をつくり出す演出を施しています。
※2 The best of the city under one roof
その都市ならではの食やカルチャーなどの体験を一つの屋根の下で提供すること

オフィスワーカーのメイン動線となるエリア。ローテーブルを配し奥まで視界が抜けることで、後方までのワクワク感・誘引効果を高めている

間仕切りがあることで会食などにも利用しやすい、和モダンなビジネス用ダイニングエリア
店舗の選定は、タイムアウトマーケット社と同社が選定したキュレーターで行われました。決定したテナントは、ミシュランの星を獲得した高級店や行列必至の人気店ばかり。
DJやギターライブ等の音楽イベント、スポーツゲームのライブビューイング、ハロウィンパーティーなど季節のイベント等、多種多様な企画も実施し、大阪が誇る食と文化をカジュアルに楽しんでいただきたいと考えています。
タイムアウトマーケットのこれから
当社が手がけるプロジェクトの一つに「OSAKA FOOD LAB」※3があります。
ここでは"食"の実験場として、チャレンジしたい人たちを後押しするインキュベーション※4事業や、自由な発想と新たな視点から刺激を生み出すイベントを行うフードプレゼンテーション事業を行っています。
大阪が誇る食文化を切り口に、大阪梅田エリアの独自価値の創造を担うという点は、タイムアウトマーケットとの共通点。今後「OSAKA FOOD LAB」で活躍したシェフが、タイムアウトマーケット大阪で腕を振るう成功事例を生み出したいと考えています。
※3 OSAKA FOOD LAB
https://www.osakafoodlab.com/
※4 インキュベーション
起業や事業創出をサポートする活動のこと

「OSAKA FOOD LAB」では、世界各地の食と文化を紹介する企画など、食のイベントの後押しも行っている
タイムアウトマーケット大阪は、世界から訪れる人々が大阪の食と文化を体験できる場であると同時に、商業施設・オフィス・ホテル・MICE施設(ホールや会議室)などの複合施設であるグラングリーン大阪ならではの多角的なニーズに応える役割も担っています。例えば、グラングリーン大阪に入居する大規模オフィスの従業員の皆さまの食需要を支えるだけでなく、館内で行われる会議や研修といったビジネスイベントと連携し、交流会会場としても活用されています。
これからも、まだ広く知られてない大阪の食や文化を世界に発信し、多様な人々が国境を越えて食を通じて交流できる場となり、世界と関西をつなぐ「国際交流拠点」としての機能を果たしていきます。